Lesson 2 - 両面借り入れによるヘッジ戦略

今日は、アルパカファイナンスのプラットフォームを使えば、リスクヘッジのための強力な戦略を立てることができることをご説明します。もちろん、これは両面レバレッジ・イールドファーミングの話です。

アルパカファイナンスは、BNB Chainのレバレッジ・イールドファーミング・プロトコルの中で、初めてこの機能を提供することができました。この機能では、両資産のレンディングプールがあるペアでレバレッジ・イールドファーミングのポジションを建てる際に、どちらの資産を借りるかを選択することができます。サポートされているプールの例は以下の通りです。

  • BNB-BUSD (3x)

  • BNB-ETH (3x)

  • ALPACA-BUSD(BUSDを借りると2.5x、ALPACAを借りると2x)

  • BTCB-BNB (3x)

  • BTCB-BUSD (3x)

  • USDT-BUSD (3x)

  • ETH-BUSD (3x)

📈両面レバレッジ・イールドファーミングのメリットは何ですか?

この機能がお客様にどのようなメリットをもたらすかを理解するためには、まず、異なるレバレッジレベルでの各資産へのエクスポージャー(リスクの種類や程度)を理解する必要があります。

  • レバレッジをかけない場合は、他の場所でもできる標準的なファーミングと同じです。1倍を超えると、資産を借りることになります。これにより、ファーミングのポジションを増やすことができ、より高い利回りを得ることができます。

  • 借りる資産ではない方の資産は、レバレッジのかかったロングエクスポージャーとなるため、その価格が上昇すると利益になります。これは標準的なファーミングと同じです。

  • 借りる資産については、レバレッジ2倍の場合、その資産に対してニュートラルなエクスポージャーとなります。つまり、借りている資産の価格が多少上がっても下がっても、あなたの自己資金の現在価値にはほぼ影響がないことを意味します。

(※ニュートラルにヘッジしたいユーザー向け:借りる資産の2桁%の大きな値動きは、エクスポージャーがニュートラルからややロングまたはややショートになります。そのため、2xで1つのポジションを開くことは、ニュートラルをヘッジするための最良の方法ではありません。2xはポジションオープン時にのみニュートラルです。この記事の後半では、より大きな値動きに耐えることができる複数のポジションを使ってニュートラルをヘッジするより良い戦略を紹介します。また、🐤こちらからユーザーの経験によるこれらのシフトの例を見ることができます。また、イールドファーミング計算機を使って、エクスポージャーの変更がポジションの価値にどのように影響するかを知ることができます。)

  • レバレッジ2倍以上の場合は、借りている資産はややショートになり、借りている資産の価格が下がったときに自己資金が増え、価格が上がったときに自己資金が減ります。

  • レバレッジ2倍以下では、両方の資産をロングにしますが、借りていない方の資産がよりロングになります。

従来、LYF(レバレッジ・イールドファーミング)のポジションをオープンする際には、1種類の資産しか借りられないようになっていました。例えば、ETH-BNBのレバレッジファーミングをしたい場合は、BNBを借りなければなりませんでした。前述したように、レバレッジが2倍を超えると、借りた資産をショートすることになります。この例では、ETH-BNBをレバレッジしているときに、BNBをショートしていることになります。これは、BNBの価格がETHを上回るという見方をしている場合には、ちょっと不便ですね。今後、私たちの両面ファーミングでは、そのようなことはなくなりました。

もしあなたが、BNBがETHをアウトパフォームすると信じているのであれば、代わりにETHを借りて、ETHをショートしながらBNBをロングするという選択ができます。利益を最大化するために、どの資産を借りるか選択できる場合は、弱気の(値下がりが見込まれる)資産を借りることを検討してください。例えば、ETH-BNBの場合、BNBの価格がETHの価格よりも上昇すると予想される場合、ETHを借ります。

この機能により、どの資産を借りるかを選択してポジションをカスタマイズできることに加え、より洗練されたファーミングやヘッジ戦略が可能になります。

例えば、高いAPYのペアで最大のレバレッジをかけてファーミングしつつ、ニュートラルにヘッジすることができるようになります。このようなことができるペアの1つがBNB-BUSDで、それぞれの資産を借りる2つのポジションを開くことで、それぞれのエクスポージャーを打ち消し合ってニュートラルにすることができます。次の例では、このようなセットアップの例を示します。ただし、先に進む前に、前の記事を読んでロングとショートのしくみを理解しておいてください。

セットアップの例

(1) まず、BNB-BUSDのポジションを3倍のレバレッジでオープンし、BUSDを借ります。この例では、$1,000分のトークンを担保として追加します。

  • 追加した担保:$1,000

  • ポジションの合計金額:$3,000(2,000BUSDを借りる)

エクスポージャー:

  • BUSD:ショート$500(BUSDは米ドルにペッグされているため、上昇・下降の可能性が非常に低く、事実上ニュートラルです。なぜショートが$1,500ではなく$500なのか理解できない場合は、こちらを読んでください)

  • BNB:ロング$1,500分

(2) 次にBNB-BUSDのポジションをもう一つ作りますが、今度はレバレッジ3倍でBNBを借りて、3000ドル分のトークンを担保として追加します。

  • 追加した担保:$3,000

  • ポジションの合計金額:$9,000(6,000BUSDを借りる)

エクスポージャー:

  • BUSD:ロング$4,500(事実上ニュートラル)

  • BNB:ショート$1,500

(3) では、上記の2つのポジションのエクスポージャーを合計してみましょう。

  • 追加された担保:$4,000

  • ポジション総額:$12,000(8,000BUSDを借りる)

エクスポージャーの合計:

  • BUSD:ロング$4,500-ショート$500=ロング$4,000(事実上ニュートラル)

  • BNB:ロング$1,500-ショート$1,500=0(ニュートラル)

ご覧のように、このタイプの戦略では、ポジションオープン時にステーブルコインとステーブルコインのペアで得られるのと同様のニュートラルなエクスポージャーを得ることができます。それでいながら、あなたはより高いAPYのペアをファーミングし、より大きな利回りを得ることができます。

これは、両面借り入れによってのみ達成できる戦略であり、通常のイールドファーミングでは両方の資産でロングエクスポージャーを余儀なくされます。アルパカでは、金色のトラクターなどの最強の農具を牛に与えたいと思っています。

それでは、アルパカの皆さん、お好きな方法でファーミングを楽しんでください。次回のレッスンでは、レバレッジ・イールドファーミングを使った最適なヘッジ戦略について詳しく説明します。

(※ニュートラルにヘッジしようとしているユーザーにとって重要な注意点:LPトークンの性質上、AMMは価格が動くと資産をリバランスします。Defiでよく言われる「インパーマネントロス」は、このしくみに由来しています。これが意味するところは、価格が動くと、ニュートラルなエクスポージャーがシフトするということです。通常、価格が上昇すると資産のエクスポージャーは少しショートになり、価格が下がると資産のエクスポージャーは少しロングになります。 このニュートラルなエクスポージャーをリセットするには、担保を追加したり(価格が上昇してショートになった場合)、ポジションをクローズして再度オープンしたりしますが、そのたびに若干の損失が出るので、ニュートラルなエクスポージャーをリセットするために頻繁に行う戦略としては、あまり良いものではありません。むしろ、BUSD-ALPACAでALPACAを2倍で借りることが有効なのは、ALPACAの価格がレンジ、つまりあまり変わらないことに賭ける場合だけです。その場合でも、この記事で紹介されているフォーマットで3xで2つのカウンターバランスのポジションをオープンした方が、高いレバレッジでより多くのファーミングによる利回りを受け取ることができるので、ニュートラルになることができます。 つまり、2倍の資産を借りることで得られるニュートラルは、2倍よりも高いレバレッジの2つのポジションを組み合わせてニュートラルなヘッジを作ることで得られるニュートラルとは異なるということです。この記事で紹介されている、2つのポジションを組み合わせる例の方が、ニュートラルなヘッジを作るには有効です。 資産のリバランスを行わずにショート/ヘッジを行う商品を開発中です。また、価格変動が自己資金の現在価値にどのような影響を与えるかを示すチャートを備えた計算機もご利用いただけます)

アルパカを使ったマルチポジションヘッジ戦略の詳細な例についてはこちらの記事をお読みくださいhttps://medium.com/leverage-farming-with-alpaca/pseudo-delta-neutral-with-alpaca-4df49289e167

🐤上記の記事の原作は日本語版です⇒アルパカさんで疑似デルタニュートラル戦略

🐤また、この記事の後に追加された機能(ポジションの調整と、部分的なクローズ)を活用したポジションのリセットについてはこちら⇒返ってきたALPACA-BUSDx2やらないやつパカなの?~疑似デルタニュートラルがより効率的に

また、わが社の自動化ヴォールトでは、両面レバレッジのイールドファーミングのポジションを投資家に代わって管理し、資産価格の動きに合わせてポジションを自動的に調整し、ネットエクスポージャーを希望のターゲットに保つことができます。詳しくはこちらでご覧いただけます。

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