Lesson 3 - レバレッジファーミングにおける清算リスク
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今日は、清算のことをより理解しやすくするために、詳しく見ていきます。その前に、次のセクションで使われるいくつかの用語を確認しておきましょう。
「負債の額(Debt Value)」は、借りているトークンの価値+借り入れ利子です。
「ポジションの価値(Position Value)」は、ファーミングしているポジションの価値であり、自己資金+借入資産+利回り(あなたのLPトークンの価値ともいう)の合計です。
「負債比率(Debt Ratio)」とは、あなたの「負債の額」を「ポジションの価値」で割ったものです。
「自己資金の現在価値(Equity Value)」は、あなたのポジションの価値から負債の額を引いたものです。
(上記の値はすべて借り入れたトークンで表示されます)
先輩アルパカである私たちは、ファームでのリスクを若い子たちに教えてあげるのが役目ですが、その中でも一番多いのが「清算」です。精算とは何なのでしょうか?
レバレッジのかかったポジションを建てると、ファーマーは自己資金の最大6倍まで資金を借りることができるので、プロトコルはファーマーがその借金を確実に返済できるようにしておく必要があります。そのため、あなたの自己資金は、利回り(借入金利を除く)を生む担保として機能します。
この担保の額は、負債の額(に急激な価格変動を考慮した安全マージンを加えたもの)を上回っていなければなりません。そうでなければ、プロトコルはファーマーのポジションをクローズして、貸し手に返済することになります。これを清算といいます。
この時、ポジションをクローズして貸し手への返済を確実にした報酬として、ポジションの価値の5%が手数料として徴収されるので、清算は避けたいところです。
さて、はっきりさせておきましょう。清算はリスクですが、それは特定の時に限られます。最初にポジションをオープンしたときは、清算を心配する必要はありません。
では、どんな場合に心配しなければいけないのでしょうか。
ファーマーはトークンを預けているから、担保の価値はトークンの値動きによって変化します。さらに、資金を借りてポジションを持っている間は、それらの資金の価値は増減する可能性があります。
ここで重要なのは、担保の別称として自己資金の現在価値(Equity Value)があることです。清算されないためには、この価値が一定の値以上である必要があります。
具体的には、負債比率(Debt Ratio)が清算しきい値(Liquidation Threshold)と呼ばれる値を超えた場合、あなたのポジションは清算ボットによって清算される可能性があります。つまり、ボットはあなたのポジションをクローズし、借入金を返済し、残りの資産をあなたに返します。
なぜ、清算しきい値で清算されるのでしょうか? それは、あなたの担保(自己資金の現在価値)がとても小さくなり、このままでは借金を返せなくなるリスクがあると判断されたからです。つまり、清算は貸し手を守るために必要なのです。これによって、貸し手はシステムを信頼してあなたに資産を提供し、あなたは利益のあるファーミングを行うことができるのです。
これが清算の一般的な概要です。しかし、レバレッジ・ファーマーや投資家としては、ほとんどが具体的な価格を気にしています。そこで次は、資産価格の目線で清算を考えてみましょう。
私たちはこの数字を計算することができます。
例えば、TOKEN1-TOKEN2のポジションを持ち、TOKEN2を2倍、2.5倍、3倍のレバレッジで借りたとします。最初の負債比率は、それぞれ50%、60%、66.7%となります。
清算しきい値を80%と仮定すると、清算されるためにはTOKEN1のTOKEN2に対する価格(TOKEN1 / TOKEN2)が、それぞれ61%、44%、31%下がる必要があります(下のTable 1)
そう考えると、かなり理解しやすくなりますよね。保有しているトークンの価値が大幅に下がった場合、担保の価値が下がったことになり、清算される可能性を警戒する必要があります。
(この数字を他のレバレッジレベルや清算しきい値で見るには、Yield Farming Calculatorをダウンロードし、「LP Farming Liquidation」シートにアクセスして、希望の入力をしてみてください。)
ポジションをオープンした後、価格が動くと負債比率は変化します。下のグラフで最新の負債比率を見つけ、清算されるまでに(TOKEN1 / TOKEN2)がどれだけ下げられるかを確認してください。この数値は、「Your Positions」の欄にある緑色の「Safty Buffer」バーにマウスを置くと表示され、リアルタイムで清算リスクを見ることができます。
単一資産のレバレッジ・イールドファーミングでも、清算は発生します。例えば、CAKEのファームでポジションをオープンし、1.5倍、2倍、2.5倍のレバレッジでToken2を借りたとします。
清算されるまでには、借りたトークンに対するCAKEの価格(CAKE / Token2)が、それぞれ58%、38%、25%下落する必要があります(以下の表とグラフを参照)
(他のレバレッジレベルと清算しきい値については、計算シートの「単一資産の農業清算」をご覧ください)
アリスは、レバレッジ3倍でBNB-BUSDのポジションを建てます。
アリスは、自己資金10BNB(3000BUSD相当)を預け入れます、これが彼女の自己資金の現在価値(Equity Value)となります。
アリスは6000BUSDを借ります(預け入れた資金の2倍、自己資金の3000BUSDと合わせて合計3倍)。
そしてプロトコルは、預け入れたトークンと借りたトークンを 50 : 50 の割合でLPトークンに変換します:15BNB+4500BUSD,つまり30BNB分が彼女のポジション価値です。(実際には、プライスインパクトや取引手数料があるため、若干低くなります。アリスのネットエクスポージャーは15BNBのロングです)
アリスの負債比率(負債の額/ポジションの価値)は66%(20BNB/30BNB)です。
ある時点で BNB の価格が 36%以上下落した場合(Yield Farming Calculator で計算)、アリスの負債比率は 83.3%(BNB-BUSDプールの清算しきい値)を超えることになります。清算ボットは、スマートコントラクトを呼び出して、アリスのポジションをクローズし、借金を返済し、残りの資産をウォレットに戻します。
この例では、イールドファーミングの報酬や取引手数料の影響を無視していることに注意してください。これらは時間の経過とともにアリスのポジションの価値を高め、ポジションをより安全なものにします。また、借入額を増加させ、負債比率を高くする借入金利も無視しています。
清算を避けるには次のことをするといいでしょう。
セーフティバッファの値を監視する:「Your Positions(あなたのポジション)」欄の「Safety Buffer(セーフティバッファ)」は、清算される値にどれだけ近づいているかを示します。この値がゼロになると清算されます。また、セーフティバッファがゼロになるまでに、「借りていな方のトークン」がどれだけ値下がりできるかをマウスをかざして確認することができます。
担保を追加する:セーフティバッファが減少している場合は、あなたのポジションの右側にある「Adjust Position」で担保を追加することで、セーフティバッファを増やし、清算を避けることができます。
値動きの小さい資産をファーミングする:ステーブルコインをファーミングしている場合、清算の可能性は極めて低くなります。さらに、BTCBのように時価総額が大きくて値動きの小さい資産は、新しくて時価総額の低いトークンよりも安全です。もちろん、その代わりにAPYも小さくなりますが。